この日、私は甲府にいました。
ヴァンフォーレ甲府とジュビロ磐田の試合を観に、山梨まで遠征していたんです。だからこの試合は、DAZNで見ることができませんでした。
スタジアムへ向かう電車の中で、席に着いてから、ハーフタイムに。スマホでテキスト速報を開いては、また閉じる。そんな追いかけ方でした。
17分と29分。速報を開いたら、もう2点ビハインドだった
2026年9月12日(土)18時、ミクニワールドスタジアム北九州。明治安田J3リーグ第6節、ガイナーレ鳥取戦です。曇り、気温27.5℃、湿度81%。主審は小林健太朗さん。
北九州の布陣は4-2-3-1。GK谷口璃成、最終ラインは官澤琉汰・横窪皇太・神橋良汰・星広太。ボランチに井澤春輝と坂下湧太郎。前に吉長真優、平松昇、髙橋大悟を並べ、1トップに吉田晃盛。
吉田晃盛は、今季のリーグ戦で初先発でした。
最初に速報を開いたとき、スコアはもう0-2になっていました。
17分、荒井涼。左サイドをゴールライン際までドリブルで運んで、角度のないところから右足で流し込まれています。本人は試合後、こう話していました。
「中を見てクロスを入れようと考えていたが、パスを出すコースがなかったので……シュートを打ったら、たまたま入りました」
29分には矢島慎也。その荒井からのパスをペナルティエリア左で受けて、左足で決められました。
速い時間帯に、2点。画面の向こうの出来事なのに、嫌な予感しかしませんでした。
前半42分、吉田晃盛。これが公式戦プロ初ゴールでした
ところが前半42分、1点返します。
平松昇の左コーナーキック。ペナルティエリア内で胸トラップして、左足で叩き込みました。
「CKが続く中で……官澤琉汰選手にブロックしてもらって、自分がフリーになりました」
今季リーグ戦初先発での、公式戦プロ初ゴールです。
試合後のコメントを読むと、この日にかける気持ちが伝わってきます。
「このタイミングで先発のチャンスが回ってきて、ホームゲームだったので、今日は自分にとって勝負の日だと思い、気合が入りました。でもそれが裏目に出ないようにしなければ、とも思っていました」
「ケガをしようが、足がつろうが最後まで戦うことを決めてピッチに立ちました」
そして、こうも言っています。
「今日の目標は2ゴールでした」
1点で満足していない。初ゴールを決めた日に言えることではないと思います。
1-2で折り返して、甲府から勢いを送っていた
前半は1-2で終了。
ここから行ける、と思いました。2点差がひとつ縮まって、しかも前半のうちに。後半、勢いに乗ってくれるはず。
甲府のスタンドで、そんな念を遠くから送っていました。
57分、62分。願いは届かなかった
後半12分、57分。右サイドからの攻撃を谷口璃成がいったんはセーブしたものの、そのこぼれ球を山本颯太に押し込まれて1-3。
後半17分、62分。セットプレーの流れから金浦真樹。本人のコメントはこうです。
「フリーで1対1だったので、決めるだけでした」
1-4。後半だけで、また2失点でした。
78分、高昇辰。10か月ぶりのゴール
70分に投入された高昇辰が、78分に一矢報います。髙橋大悟のクロスを、ヘディングで。
2025年11月16日のJ3第36節・鳥取戦以来、約10か月ぶりのゴールでした。この間、ケガで離脱していた期間があります。
「ケガもあり、間がかなり空きました。今日1点を決めることができたこと、それは個人的には良かったと思います。ただ、もっとチャンスをつくれば追いつくこともできた展開だと思うので、そこは悔しいところです」
2-4。反撃はここまででした。
数字で見る、この90分
試合が終わってスタッツを見たとき、正直、また同じだと思いました。
項目北九州鳥取シュート159枠内シュート98ボール支配率58%42%コーナーキック111フリーキック75オフサイド10警告01
※シュート数はJ.League公式の数値です。スポーツナビおよび鳥取公式では北九州12本と表記されており、ソースによって割れています。
※J3はパス成功率・ゴール期待値(xG)が公式に公開されないため、今回は掲載していません。
シュートも、枠内も、CKも上回って。それでも2-4
シュートで上回り、枠内でも上回り、ボールも持って、コーナーキックにいたっては11対1。それで2-4です。
前節のFC琉球戦は、シュート16本・枠内6本で0得点、相手は12本中7本を枠に飛ばして3得点でした。構図がよく似ています。
ただ、今回はひとつだけ違うところがありました。
2点、取れたこと。しかも、FW登録の選手がふたりです。
「軽い失点が4つ続きました」
田中遼太郎監督の総括は、正直なものでした。
「ゲームの方は連戦で体が重い中でも準備してきたことをしっかりと出せた部分は多かったと思います。ただ今日のゲームに関して言うと、軽い失点が4つ続きました。取られた時間帯も良くなかったです」
「なぜそういうふうになったのかは、選手・スタッフともよく話をして改善していかないといけません。ここで下を向く、やっていることを手放すということは考えていません」
直近3試合で、11失点。愛媛戦で4失点、琉球戦で3失点、そしてこの試合で4失点です。
監督が話していたのは、精神論ではなく「構造」の話だった
守備についての質問への答えが、私にはいちばん印象に残りました。
「何かを取りに行けば何かを失う。失わずに取れるものが大きくなるように修正をかけないといけない中で、同じような形の失点が続いています」
「一つのミスが起こってそれがそのまま失点につながることは、サッカーではほとんどありません。そのミスが起こった後にリカバリーして、最悪の失点という形を防がなきゃいけない、その構造をもうちょっと確認しないといけないなと思いました」
「気持ちを入れ直す」でも「集中する」でもなく、ミスのあとに何が起きるかという設計の話をしています。
負けが込んでいるときほど精神論に寄りがちだと思うので、ここは信じたいところです。
「どんな時でも、トンネルの中かもしれない」
この試合のあと、私はずっと考えていました。この長いトンネルを抜けるには、どうしたらいいんだろう、と。
その問いに、監督が答えているような一節がありました。「吉田選手と高昇辰選手が初ゴールを決めました。希望の光と捉えて良いのでしょうか」という質問に対する答えです。
「トンネルなのかどうか選手たちがどう感じているか分かりませんが、課題はある程度明確になっていると私は思います。明確だからすぐ改善できるのかというところも当然あります」
「どんな時でもトンネルの中かもしれないですし、どんな時でも明るいかもしれない。そういうメンタリティーにならないように、何をやらないといけないのか、何ができていて何を改善しなければいけないのかは、明確にやっていかなければいけません」
トンネルの中にいるかどうかを気にするな、ということだと受け取りました。暗いか明るいかは気分の問題で、やるべきことは気分とは別に決まっている。
外から見ている私のほうが、よほどトンネルの話をしているのかもしれません。
試合後、サポーターが送ったのはブーイングではなかった
この日の入場者数は3,731人。今季ここまでの北九州の平均は5,414人です。
ホームで4失点して負けた試合のあと、スタンドから届いたのはブーイングではありませんでした。
「今日もサポーターの方たちにたくさん声援をいただいて、試合後も声をかけて背中を押してくれました。本当に感謝しかありません」
「当然ブーイングをされても仕方のない結果、内容、失点の仕方です。その中でもあのように対応をしていただいた。そこには理由があると思います」
「私が感じたことは『前を向け』『しっかりと戦いなさい』という、叱咤激励のメッセージだと捉えています」
3連敗中のホームゲームで、4点取られて。それでも背中を押す。ミクスタのそういうところが、私は好きです。
19位、勝点3。次は相模原
これで6試合を終えて0勝3分3敗、勝点3で19位。得点7、失点14です。
リーグ戦は開幕から6戦未勝利、そして3連敗になりました。
一方の鳥取は3勝1分2敗の勝点10で7位。今季最多得点での勝利だったそうです。
対鳥取の通算成績は13勝2分8敗で、北九州が勝ち越している相手です。ただ直近5試合に限ると、鳥取のほうが優勢になっています。
次は9月20日(日)17時、アウェイでSC相模原戦。相模原ギオンスタジアムです。
FW登録の選手がふたり、点を取りました。まずはそこからだと思っています。
ハイライト
J.League公式チャンネルにハイライトが上がっています。
この日の記録
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会 | 2026/27 明治安田J3リーグ 第6節 |
| 日時 | 2026年9月12日(土)18:00 キックオフ |
| 会場 | ミクニワールドスタジアム北九州 |
| スコア | ギラヴァンツ北九州 2-4 ガイナーレ鳥取(前半1-2/後半1-2) |
| 得点(北) | 42分 吉田晃盛(アシスト:平松昇)/78分 高昇辰(アシスト:髙橋大悟) |
| 得点(鳥) | 17分 荒井涼/29分 矢島慎也(アシスト:荒井涼)/57分 山本颯太/62分 金浦真樹 |
| 入場者数 | 3,731人 |
| 天候 | 曇/27.5℃/湿度81% |
| 主審 | 小林健太朗 |
| 警告 | 75分 東條敦輝(鳥) 退場なし |
※監督・選手のコメントは、ギラヴァンツ北九州公式サイトの試合結果ページ、J.League公式の戦評・選手コメント、およびガイナーレ鳥取公式サイトから引用しています。

コメント