【ルヴァンカップ】83分、元ジュビロのマヒロ。シュート20本で掴んだ今季初勝利|北九州 1-0 いわき

アイキャッチ|北九州 1-0 いわき テレビ観戦
アイキャッチ|北九州 1-0 いわき

車の中でした。
9月2日の夜、私は相模原にいました。ジュビロ磐田のルヴァンカップを観に行っていたんです。試合が終わって、友人の車で送ってもらっている途中——スマホでテキスト速報を追っていたのが、この試合でした。
ミクニワールドスタジアム北九州で、我らがギラヴァンツ北九州がJ2のいわきFCを迎えた一戦。83分、吉長真優のゴールで1-0。無失点で守り切って、今季の公式戦初勝利です。
画面の文字が「GOAL」に変わった瞬間、車の中で小さくガッツポーズをしてしまいました。

強いの? 弱いの?

今年のギラヴァンツ、本当によくわかりません。

リーグ戦は讃岐、栃木SC、松本山雅と3試合連続のドロー。負けてはいない。でも勝ててもいない。前回の松本戦の記事でも「負けないチームにはなった。でも、まだ勝ち切るチームにはなっていない」と書いたところでした。

そのうえ、8月19日の天皇杯1回戦では、JFLの沖縄SVに1-2。しかも延長の末の敗戦です。格下相手に、ホームのミクスタで。あれは本当に悔しかった。

負けない強さと、勝てない弱さ。それが同居しているのが今のギラヴァンツです。
だからこのルヴァンカップには、天皇杯の悔しさをぶつけてほしいと思っていました。しかも相手はJ2のいわきFC。カテゴリーはひとつ上です。

スタメン|松本戦から9人、入れ替え

この日の北九州は4-2-3-1。
GKは谷口璃成。最終ラインに神橋良汰、横窪皇太、世良務、官澤琉汰。中盤に河辺駿太郎、井澤春輝、遠藤貴成、坂下湧太郎。前線に坪郷来紀と吉田晃盛という顔ぶれでした。

3日前の松本戦の先発と比べると、継続は神橋良汰と坪郷来紀の2人だけ。9人が入れ替わっています。
今季新加入ながらケガで出遅れていた横窪皇太が、今季公式戦初先発

田中遼太郎監督は試合後、この日のメンバーについてこう話しています。
「天皇杯1回戦の沖縄SV戦と同じようなメンバーで臨みました」

つまり沖縄SVに負けた、あの11人に近い顔ぶれということです。監督は続けてこうも言っています。
「沖縄SV戦で負けてしまった、リーグ戦に出ることができていない、そうした感情の中で今日の試合に臨んだ選手が多かったとは思います」

悔しさをぶつけてほしい、と私は思っていました。監督は、もっと具体的にそれを伝えていたようです。

対するいわきも大幅なターンオーバー。直前のJ2新潟戦の先発から9人を入れ替えてきました。お互いに「控え組」をぶつけ合う一戦だったわけです。

前半0-0。でも、押していたのは北九州でした

前半はスコアレス。テキスト速報だけを追っていた私には、正直「膠着しているのかな」くらいにしか見えませんでした。

でも、あとで数字を見て驚きました。

この試合、シュートは北九州20本、いわき8本。J2のいわきが、J3の北九州の半分以下しか打てていません。

いわきの田村雄三監督は、試合後の会見でシュート数の少なさを問われて、こう答えています。

「単純に相手陣に入ることができませんでした」

北九州がゴール前まで運べていた、ということです。

83分、吉長真優

試合が動いたのは83分でした。
セカンドボールを拾った坂下湧太郎が吉田晃盛へ。吉田がドリブルで運んで、中央右寄りの吉長真優へ横パス。吉長がペナルティエリア内から右足を振り抜いて、ゴール左下へ。

実はこの吉長、27分に投入された交代選手でした。遠藤貴成が負傷してしまい、その代わりです。予定外の、早い時間の交代出場。
そして交代から56分後に、決勝点です。

本人のコメントが、この場面をよく説明してくれています。

「その前に同じような展開で生まれたチャンスでシュートを外しています。そのときは切り返してのシュートがDFに当たりました。だから次が(切り返さずに)思い切って足を振ろうと決めていました」
一度失敗して、その修正が次の場面で効いた。同じ試合の中で学習して、決めきった、ということですよね。

ちなみに本人は「今日は結果オーライという感じです」とも言っています。この謙虚さ、いいなあと思います。
アシストの吉田晃盛のコメントも紹介させてください。
「本当は自分でシュートを打とうと思いましたが、より可能性のある吉長選手へのパスを選択しました」
自分で打てる場面で、あえて渡した。この判断が、勝利を呼び込みました。

元ジュビロの、6年

そして私にとって、このゴールにはもうひとつ特別な意味があります。
吉長真優は、元ジュビロ磐田なんです。

しかもユースではありません。トップチームです。

所属 主な記録
2020年 ジュビロ磐田(加入) 成立学園高から加入。11月8日 J2愛媛戦でJ初出場
2021年 ジュビロ磐田 J2優勝メンバー
2022年 ジュビロ磐田(J1) 9月3日 柏戦でJ初得点。J1通算18試合1得点
2024年 カマタマーレ讃岐 育成型期限付き移籍
2025年 ギラヴァンツ北九州 育成型期限付き移籍。J3で3得点
2025年12月 ギラヴァンツ北九州 磐田から完全移籍で加入

2020年から2025年まで、6年間ジュビロにいた選手です。2021年のJ2優勝も、2022年のJ1も経験している。そして2025年12月、完全移籍でギラヴァンツの選手になりました。

この日、私は相模原でジュビロの試合を観ていました。その帰り道に、元ジュビロの選手がミクスタで決勝点を決めた。
両方応援している人間としては、こんなに嬉しいことはありません。

東京都出身の24歳、背番号8、愛称はマヒロ。今季はここまでリーグ戦3試合すべてに先発していましたが、ゴールはこれが今季初でした。

北九州 1-0 いわき|スタッツで見ると

項目 北九州 いわき
シュート 20 8
コーナーキック 9 3
フリーキック 13 11
ボール支配率 47% 53%
警告 2 1

速報を追いながら「積極的にシュートを打つ姿勢が勝利を生んだのかな」と想像していたのですが、数字はそのとおりでした

前回の松本戦、北九州のシュートは7本でした。相手の松本が16本。あの日は打たれる一方だったんです。それが今日は20本。ほぼ3倍です。

しかも面白いのは、ボール支配率では47%対53%と、いわきに下回っていること。

ボールは持たれていた。それでも危険なのは北九州だった。松本戦とは、ちょうど逆の構図です。あの日は支配率で上回りながら、シュートは7対16でした。

コーナーキックも9対3。ゴール前まで運べていた証拠だと思います。

ひとつだけ、数字の注意

Jリーグ公式の記録では、北九州の「枠内シュート」は12本となっています。20本中12本が枠内、それで1点。ちょっと不思議ですよね。

速報を1本ずつ数えてみたら、理由がわかりました。

この「枠内」には、相手DFにブロックされたシュートも含まれているんです。12本の内訳は、ブロックが8本、GKのセーブが2本、ゴールが1本、記載なしが1本。

つまりGKが実際に触ったのは3本。「20本打って12本枠内なのに1点」ではなく、「20本打って、そのうち8本は身体を張って止められた」というのが実際に近いと思います。

いわきも必死に守っていた、ということですね。

※オフサイドの数は、Jリーグ公式のスタッツ表と試合速報で食い違っていたため、この記事には載せていません。

二度目のクリーンシート

終わってみれば、無失点。ホーム讃岐戦の0-0のスコアレスドロー以来のクリーンシートですね。
「今季初の、無失点での勝利」です。

それでも十分に大きな一勝だと思います。今季の公式戦を並べてみると、こうなります。

日付 大会 相手 結果 失点
8/15 J3第2節(H) 讃岐 0-0 0
8/19 天皇杯1回戦(H) 沖縄SV 1-2(延長) 2
8/22 J3第3節(A) 栃木SC 2-2 2
8/30 J3第4節(H) 松本山雅 1-1 1
9/2 ルヴァン1回戦(H) いわきFC 1-0 0

 

3分1敗のあとの、初勝利。しかもカテゴリーがひとつ上のJ2相手に、です。

※開幕節だったFC琉球戦は台風13号で中止となり、9月9日に順延されています。

※厳密には、8月1日の天皇杯・福岡県代表決定戦の決勝で福岡大学に3-2で勝っています。田中遼太郎監督の公式戦初陣・初勝利はこちらでした。県予選をどう数えるかは、人によって違うかもしれません。

そして次は、名古屋グランパス

この勝利で、北九州は2回戦へ進みました。

相手が、すごいことになっています。

9月29日(火)19時、ミクニワールドスタジアム北九州に、J1の名古屋グランパスを迎えます。

今季のルヴァンカップは、J1の10クラブが2回戦から参戦してくる方式。その1つが、いきなりミクスタに来るわけです。

しかもホーム。

J3のクラブがJ1を迎え撃つ。こんな試合、そうそうありません。

いわきの田村監督が、試合後にこんなことを言っていました。

「われわれのほうが上のカテゴリーに属しているけれども、現状は甘くない」

カテゴリーは、そのまま結果にはならない。それを今日、ギラヴァンツが証明しました。9月29日も、同じことが起きてほしい。

この日の記録

項目 内容
大会 JリーグYBCルヴァンカップ 1stラウンド1回戦
日時 2026年9月2日(水)19:03キックオフ
会場 ミクニワールドスタジアム北九州
スコア ギラヴァンツ北九州 1-0 いわきFC(前半 0-0/後半 1-0)
得点 83分 吉長真優(アシスト:吉田晃盛)
入場者数 1,989人
天候 晴れ 気温29.8℃ 湿度80%
主審 佐々木慎哉
北九州先発 GK谷口璃成/DF神橋良汰・横窪皇太・世良務・官澤琉汰/MF河辺駿太郎・井澤春輝・遠藤貴成・坂下湧太郎/FW坪郷来紀・吉田晃盛
北九州交代 27分 遠藤貴成→吉長真優/63分 坪郷来紀→吉原楓人/63分 河辺駿太郎→高昇辰/80分 世良務→星広太/80分 官澤琉汰→長谷川光基
次戦 9月5日(土)J3第5節 vs 愛媛FC(アウェイ)/9月29日(火)ルヴァン2回戦 vs 名古屋グランパス(ホーム)

 

勝ちました。ようやく、勝ちました。VAMOS、ギラヴァンツ北九州!🌻

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