今日は、文字だけでした。
テキスト速報だけで追った90分
2026年9月29日(火)19時、ミクニワールドスタジアム北九州。Jリーグ ヤマザキビスケット ルヴァンカップ 1stラウンド2回戦、相手はJ1の名古屋グランパスです。
この試合、フジテレビNEXTは録画、生中継はスカパー!のみ。つまり我が家でリアルタイムに追う手段は、ネットのテキスト速報だけでした。
更新ボタンを押しては閉じ、また押す。そんな90分です。
リーグ戦は前節、首位の鹿児島ユナイテッドFCと1-1(安光将作「その評価は今日の試合でしてはいけない」|北九州 1-1 鹿児島)。その前の相模原戦で今季リーグ初勝利を挙げていて、直近2試合は1勝1分。浮上のきっかけをつかみつつある、という状態でした。
先発11人、全員が入れ替わっていた
メンバー発表を見て、思わず二度見しました。
3日前のリーグ第8節・鹿児島戦の先発と、重なっている選手がひとりもいない。11人全員入れ替えです。
先発は4-4-2。GK杉本光希、最終ラインは長谷川光基・奈良坂巧・星広太・官澤琉汰。中盤に井澤春輝、岡野凜平、吉原楓人、坪郷来紀。前に平原隆暉と永井龍。
このうち4人は、鹿児島戦ではメンバー外でした(官澤琉汰、岡野凜平、吉原楓人、坪郷来紀)。
ルヴァンカップ1回戦(9月2日、いわきFCに1-0)も控え中心のメンバーで勝っています。リーグ戦で出番の少ない選手にとって、これ以上ないアピールの場です。
名古屋は、2人しか替えていなかった
ところが、相手のほうを見て、もう一度驚きました。
名古屋グランパスは、J1リーグ前節のFC東京戦から先発をわずか2人しか替えていません。しかもその2人は、FC東京戦で途中出場だったマテウス カストロと森島司。つまり、ほぼベストメンバーです。
GKシュミット ダニエル、稲垣祥、森島司、山岸祐也。名前を見ただけで、ちょっと身構えました。
ペトロヴィッチ監督はこの試合前、選手たちにこう言っていたそうです。
「もし負けてしまったら名古屋まで泳いで帰るしかない。試合前にそう伝えていた」
北九州から名古屋まで、途中に海があります。冗談なんですけど、本気度は伝わってきます。
19分、30分。前半で2点
19分、木村勇大のパスに反応した内田宅哉が、ペナルティエリア手前から右足でゴール左下へ。
0-1。
そして30分。高嶺朋樹から内田宅哉へ、そこから山岸祐也。ペナルティエリア中央から右足で、またゴール左下へ。
0-2。
テキスト速報を見ていても、押し込まれているのが分かりました。前半終了時点でシュートは2対8、ボール支配率は32%対68%です。
68分、3点目
後半、名古屋は63分に野上結貴と小屋松知哉を投入します。
そして68分。ペナルティエリア内からの野上結貴のクロスに、木村勇大がヘディングではなく右足で合わせて、ゴール左下。
0-3。
交代で入った選手が、交代で入った選手にアシストする。J1の層の厚さです。
90分、吉田晃盛
それでも、最後に一矢報いました。
90分。長谷川光基のボールを受けた吉田晃盛が、ペナルティエリア手前からドリブルで持ち込み、ペナルティエリア中央から右足でゴール右下へ。
1-3。
この吉田晃盛、北九州市の隣・行橋市の出身です。行橋SSS、小倉南FCジュニアユース、九州国際大学付属高校、新潟医療福祉大学と歩いて、今季から地元のギラヴァンツへ。
プロ初ゴールは9月12日の鳥取戦でした(トンネルの中で、FWがふたり点を取った|北九州 2-4 鳥取)。この日が、公式戦2点目です。
本人は、こう振り返っています。
「自分が入ってからずっとゴールを狙っていましたし、背後が空いていたので、背後に動き出そうと思っていました。いい感じに自分の形で抜けて、あとはキーパーと1対1だけだったので、冷静に決め切ることができたので良かったです」
田中監督「チーム全員でつかんだ1点」
0-3から返した1点を、どう見るか。
私は、これは大きな1点だと思いました。J1が相手だから負けてもいい、とは思いませんが、それでも最後まで折れずに返した1点には価値がある、と。
田中遼太郎監督の受け止めが、まさにそこでした。
「そこに関しては吉田本人の強さもあり、最後は冷静でしたし、非常に良かったと思います。ただ、先ほどから話しているように、そこに至るまでの動かし方。長谷川から入れたボールでしたが、ゴールキーパーが持ってみんなが距離を広く取って、そこから入れたボールを彼が一人で打開したわけではないと思います」
「もちろん彼のストロングは素晴らしかったと思いますが、チーム全員でつかんだ1点だと思います。そこはまた次の試合のゲームの入りから出せるように。そういう意味では、次につなげてくれたいい得点だったと思います」
「彼が一人で打開したわけではない」。ゴールキーパーがボールを持って、全員が距離を取って、そこから入れたボール。つまりチームとして狙ってやった形だった、ということです。
だから「次の試合のゲームの入りから出せるように」と続く。ただ喜ぶのではなく、次の入りに持っていこうとしている。こういう1点の褒め方があるんだな、と思いました。
田中監督「腰が引けた戦い方をしてしまった」
一方で、試合全体への評価はかなり厳しいものでした。
「試合の方は、名古屋さんの上手さ、速さ、強さ、そういうところで攻守において終始圧倒された内容と結果になったと思います」
そして、「相手の強度に慣れるのが早かったように見えた」という質問への答えが、この日いちばん刺さりました。
「慣れる時間を待っている時点で、勝負事なので簡単に勝つことはできないと思います。頭では分かっているつもり、準備もしてきたつもりでした。端的に言ってしまうと、腰が引けた戦い方をしてしまった時間帯、局面が多々見られました」
「むしろ、入りに圧倒して得点を取りに行かなければいけない。ホームですしそういう準備をして入ったつもりです」
「慣れを待っているようでは、先に点を取られてしまいます」。19分と30分の失点は、まさにそこでした。
そして、リーグ戦にどうつなげるかを問われて。
「ロッカールームでも話したことは、J1の相手だからとか、相手がどういうメンバーでこちらがどういうメンバーだからしょうがないと思ってしまったらもう終わりだし、我々がこのスタジアムでプレーをする以上、そういうことは1ミリも持ってはいけないと」
「1ミリも持ってはいけない」。負けた試合の監督コメントとして、いちばん聞きたかった言葉でした。
吉田晃盛「絶対に勝てないわけではないと思っていました」
選手のほうも、同じ方向を向いていました。得点した吉田晃盛です。
「個人個人のレベルは相手の方が高いと思いますが、チームとしてはそこまで大差があるというか、絶対に勝てないわけではないと思っていました。チームのクオリティや一つひとつの質の部分には違いがあったと思います」
0-3にされた試合のあとで、これを言えるのは強い。
そして次節に向けて。
「リーグ戦は全部勝つ気で、順位をどんどん上げていきたいです。自分の得点で勝たせることしか考えていないですし、次のギラフェスからしっかりいい波に乗れるように、練習からやっていきたいと思います」
井澤春輝「J1は、たどり着かないといけない場所」
フル出場に近い時間を戦った井澤春輝のコメントも、良かった。
「『ここぞ』というところの質は高かったので、そこは今日改めて学びました。自分たちが目指すべき場所ですし、J1という舞台はたどり着かないといけない場所です。負けて悔しいですが、この1試合は自分の中で大きいものになったと思います」
この日ピッチに立った選手たちにとって、J1と90分やれたこと自体が財産です。それを「大きいものになった」と言葉にできているのが、何よりだと思いました。
数字で見る、この90分
| 項目 | 北九州 | 名古屋 |
|---|---|---|
| シュート | 8 | 17 |
| 枠内シュート | 3 | 6 |
| ボール支配率 | 36% | 64% |
| パス成功率 | 71% | 86% |
| コーナーキック | 2 | 8 |
| ファウル | 15 | 4 |
| 警告 | 1 | 0 |
数字の上でも、はっきり圧倒されています。タッチ数は608対1219で、名古屋が2倍。チャンスクリエイトは7対19でした。
ただ、こういう日に見ておきたい数字もあります。
| 項目 | 北九州 | 名古屋 |
|---|---|---|
| ブロック | 20 | 14 |
| こぼれ球奪取 | 28 | 18 |
| クリア | 15 | 12 |
ブロック20、こぼれ球奪取28、クリア15。このみっつは北九州が上回っています。体を投げ出して止めた回数は、こちらのほうが多かった。
0-3という数字だけ見ると心が折れそうになりますが、こういう数字も同時に残っています。
平日の夜に、3,704人
もうひとつ、書いておきたいことがあります。
この日の入場者数は3,704人。今季のミクスタの平均入場者数は2,847人ですから、平日火曜の夜のカップ戦で、平均を800人以上上回っています。
田中監督も、総括の最初にこう言っていました。
「平日にもかかわらず、本当にたくさんのサポーターの方たちに来ていただきました。北九州のサポーターの皆さん、名古屋のサポーターの皆さんに本当にいい雰囲気をスタジアムの中で作っていただいて、その中でプレーできたことを心から感謝しています」
J1が来る日というのは、そういう日なんですよね。
次は土曜、ギラフェス。ホームで高知
これでルヴァンカップは2回戦敗退。今大会は終了です。名古屋は3回戦へ進み、10月14日にファジアーノ岡山と対戦します。
なお、北九州と名古屋はJリーグでは、これが初対戦でした。
北九州はここからリーグ戦に集中します。次は10月3日(土)17時、ミクニワールドスタジアム北九州で高知ユナイテッドSC戦。中3日です。
そしてこの日はギラフェス。田中監督も、最後にこう話していました。
「ギラフェスの背景、そこに関わる方たちの思い、ご尽力があって開催されるかは私自身把握させていただいています。(中略)たくさんのサポーターの方が来てくれるという話も聞いていますので、全員で勝点3をつかみ取れるように、今一度気を引き締めて臨んでいきたいと思います」
リーグ戦は8試合を終えて1勝4分3敗、勝点7で17位。高知ユナイテッドSCは19位です。
土曜日、ミクスタで。
この日の記録
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会 | 2026/27 Jリーグ ヤマザキビスケット ルヴァンカップ 1stラウンド2回戦 |
| 日時 | 2026年9月29日(火)19:00 キックオフ |
| 会場 | ミクニワールドスタジアム北九州 |
| スコア | ギラヴァンツ北九州 1-3 名古屋グランパス(前半0-2/後半1-1) |
| 得点(北) | 90分 吉田晃盛(アシスト:長谷川光基) |
| 得点(名) | 19分 内田宅哉(アシスト:木村勇大)/30分 山岸祐也(アシスト:内田宅哉)/68分 木村勇大(アシスト:野上結貴) |
| 北九州の交代 | 45分 永井龍→河辺駿太郎/64分 坪郷来紀→吉田晃盛/75分 岡野凜平→坂下湧太郎/85分 官澤琉汰→世良務、井澤春輝→平松昇 |
| 入場者数 | 3,704人 |
| 天候 | 晴れ/23.6℃/湿度83% |
| 主審 | 福島孝一郎 |
| 警告 | 61分 岡野凜平(北) 名古屋は警告0・退場なし |
※得点シーンの記述、メンバー、交代、審判、入場者数、スタッツはJ.League公式の試合ページ(テキスト速報・スタッツ・メンバー)を参照しています。閲覧は2026年9月30日0時時点です。
※田中遼太郎監督、吉田晃盛選手、井澤春輝選手のコメントは、ギラヴァンツ北九州公式サイトの試合レビューから引用しています。ペトロヴィッチ監督のコメントは中日スポーツの記事から引用しています。
※名古屋グランパス側の公式コメントは、本稿公開時点では未掲載です。

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