困ったことに、この日はジュビロ磐田と同じ時間でした。
テレビでジュビロ、PCで北九州
2026年9月26日(土)17時。J2のジュビロ磐田とJ3のギラヴァンツ北九州が、まったく同じ時刻にキックオフ。
仕方ないので、家庭用テレビにジュビロ、PCの画面に北九州を映すという二画面観戦になりました。どちらも目が離せない試合で、正直、忙しかったです。
(ちなみにジュビロのほうは、ヴァンラーレ八戸に1-2で敗れました。そちらは関西ジュビリストのほうに書いています。)
首位・無敗の鹿児島を、ホームに迎えた
ミクニワールドスタジアム北九州、明治安田J3リーグ第8節。相手は鹿児島ユナイテッドFCです。
前節、アウェイでSC相模原に2-1。開幕7試合目でようやくのリーグ戦初勝利を挙げたところでした。この勝利を浮上のきっかけにしたい、という一戦です。
前節の観戦記はこちら → 【観戦記】加入4日でデビュー、1ゴール1アシスト。ようやくのリーグ初勝利|相模原 1-2 北九州
ただ、相手が悪い。鹿児島はここまで7試合で6勝1分0敗、勝点19の首位。しかも開幕から無敗で、直近4連勝中でした。
とはいえホームです。勝ちたい。
この日も雨。気温20.5℃、湿度90%。入場者数は5,433人でした。主審は宗像瞭さん。
前半は0-0。拮抗していた
北九州の先発は4-4-2。GK大谷幸輝、最終ラインは神橋良汰・安光将作・横窪皇太・福森健太。中盤に吉長真優、平松昇、坂下湧太郎、髙橋大悟。前に高昇辰と吉田晃盛です。
立ち上がりから、お互いにロングフィードを起点にする展開。どちらかが一方的に押し込むという時間帯はなく、拮抗したまま前半が終わりました。
0-0で折り返し。悪くない、と思って見ていました。
63分、安光将作。2試合連続ゴール
後半も一進一退。どちらに転んでもおかしくない展開が続きます。
動いたのは63分でした。
ペナルティエリア内で、安光将作。左足で、ゴール左下へ。
1-0。
これは大きい、と声が出ました。首位相手に、ホームで先制です。
そして安光将作は、前節の相模原戦に続いて2試合連続ゴール。9月16日に加入したばかりで、これが出場2試合目です。2試合出て、2得点1アシスト。とんでもないペースで結果を出しています。
67分、鹿児島がフアンマを入れてきた
その4分後、鹿児島がカードを2枚切ります。そのうちの1枚が、これでした。
フアンマ デルガド。
2023年のJ2得点王です。188cm・90kgのスペイン人ストライカーで、この夏にV・ファーレン長崎から鹿児島に加入していました。
正直、出てきた瞬間に嫌な予感がしました。
87分、フアンマ デルガド
時間が過ぎていきます。このまま逃げ切れば、首位・鹿児島に初黒星をつけられる。
そう思っていた87分でした。
ペナルティエリア内から、フアンマ デルガド。左足。
1-1。
そこからの数分間、鹿児島の勢いがすごかった。この重戦車が前にいるだけで、ボールが収まってしまう。怖いこと、怖いこと。
なんとか守り切って、1-1で試合終了です。
私は「価値ある勝ち点1」だと思った
試合が終わったとき、正直に言うと、こう思いました。
首位で無敗の相手から勝点1。しかもホームで先制して、最後まで戦い切った。価値ある引き分けじゃないか、と。
悔しいけれど、これは前に進んでいる証拠だと。
でも、安光将作はそう言わなかった
ところが、試合後のコメントを読んで、考えが変わりました。
先制ゴールを決めた安光将作が、こう言っていたんです。
「攻撃の部分で数字を残すのが自分の特徴の一つだと思っていますし、そういった面でチームに貢献したいという思いは持っています。持っているけど、やはり今日のゲームは勝たないといけなかったと思うし、そこはすごく悔しいです」
そして、首位相手のドローをどう捉えているかを聞かれて。
「鹿児島は土壇場のゴールでアウェイゲームでの勝点1を持って帰る。僕たちはホームで勝点3取れるところで勝点1にしてしまう、そこの差を甘く見てはいけないと思う」
「僕たちが残留を目指すチームだったら『首位チームで勝点1を取れたから良かったんじゃない?』となるかもしれませんが、僕はそのつもりでこのチームに加入していませんし、本当に上に行きたいと思ってこのチームに来た中で、その評価は今日の試合でしてはいけないと思っています」
……はい。まさに私が思っていたことを、名指しで否定されました。
でも、これを言ってくれる選手が加入2試合目でいることが、いちばんありがたいことなのかもしれません。
田中監督も「勝点2を取りこぼした」と言っていた
田中遼太郎監督の総括も、同じ方向を向いていました。
「今日は午前中からかなり強い雨の中で、これだけたくさんのサポーターの方に来ていただきました。鹿児島からも、新幹線が復旧したこともあり、たくさんの方に来ていただきました。その中で非常に白熱した展開にはなったと思いますが、ゲームの結果としては勝点2を取りこぼしたという結果です」
「勝点1を得た」ではなく「勝点2を取りこぼした」。同じ1-1を、こう表現していました。
「最後耐え切れなかった、その時間までに2点目を取れなかったことがこういう勝点1に終わった要因だと思います」
そしてフアンマ デルガドについて、こう話しています。
「頭では分かっていたと思いますが、思った以上に圧を感じたと思います。もちろんフアンマのゴールも素晴らしかったですし、彼自身の力もあります」
「なので、彼にはおめでとうと。ただ、我々はもっとやらなければいけないと。そういう二つの気持ちが混在しているような状態です」
相手を讃えながら、自分たちには厳しい。こういう言い方ができる監督だな、と思いました。
鹿児島の村主監督は「ふがいないゲーム」と言った
もうひとつ、目を背けたくない話があります。
鹿児島の村主博正監督の総括です。
「ただその中で、ひと言で言うならば、少しふがいないゲームになってしまったと思います」
「原因は、北九州さんがシンプルに背後を徹底してきたところ、そこをゲームの中で1試合徹底してきたというところで、逆に自分たちがやりたいことをやられてしまっている時間帯の方が長かったと思います」
「少しずつ修正はして時間は作りましたけれど、本当に自分たちのやりたいことの10パーセント、20パーセントぐらいしか出せませんでした」
北九州の狙いが効いていた、という意味では褒め言葉です。実際、鹿児島が本来やりたいことをさせなかったのは、この日の北九州の成果だと思います。
でも同時に、本調子ではない首位相手に、ホームで勝ち切れなかったということでもあります。
安光将作の言う「その評価は今日の試合でしてはいけない」は、たぶんここを指しています。
鹿児島には、まだ一度も勝てていない
そしてこれが、いちばん受け止めるべき数字かもしれません。
| 対 鹿児島ユナイテッドFC | 通算 |
|---|---|
| 対戦数 | 13試合 |
| 北九州の勝利 | 0 |
| 引き分け | 4 |
| 北九州の敗戦 | 9 |
この試合を含めて、13試合で0勝4分9敗。北九州は鹿児島に、まだ一度も勝てていません。
そう考えると、この引き分けは「価値ある勝点1」でもあり、同時に「また勝てなかった1試合」でもある。どちらも本当です。
田中監督の、安光将作評が良かった
最後に、明るい話を。
安光将作の評価を問われた田中監督の答えが、とても良かったんです。
「得点を取ってくれたことに関しては、素晴らしかったと思います。(中略)安光に関して言うと、一つ上のカテゴリーのチームでプレーしていたというのもあり、彼にとっては我々が挑戦し続けている一番ギリギリのところが、まだ彼にとってはギリギリではないというレベルだと思います」
「良さをもっともっと出してもらって、周りの選手もそれに負けじと今成長していっていると思いますので、チーム全体のレベルを上げるその一翼を担ってくれていると思います。同じポジションの選手もですが、周りの選手も甘えずに彼を追い越すようなプレーをやっていってほしいと思います」
「彼を追い越すようなプレーを」。ひとりの加入で、チーム全体の基準が上がる。そういうことが、今まさに起きているんだと思います。
数字で見る、この90分
| 項目 | 北九州 | 鹿児島 |
|---|---|---|
| シュート | 11 | 15 |
| 枠内シュート | 5 | 9 |
| ボール支配率 | 53% | 47% |
| コーナーキック | 9 | 8 |
| フリーキック | 16 | 8 |
| 警告 | 0 | 1 |
目を引くのは枠内シュート5対9です。9本枠に飛ばされて、失点は1。GK大谷幸輝が、かなり止めていたということになります。
一方でコーナーキックは9対8。セットプレーの本数では上回っていました。
17位、勝点7。次は火曜、ミクスタで名古屋
これで8試合を終えて1勝4分3敗、勝点7で17位。得点10、失点16です。
鹿児島は引き分けても無敗を守り、6勝2分0敗の勝点20で首位のまま。強い。
そして次が、ちょっとすごい相手です。
9月29日(火)19時、ミクニワールドスタジアム北九州で、JリーグYBCルヴァンカップ2回戦、名古屋グランパス戦。J1です。ホームで、中2日で。
田中監督は、こう言っています。
「中2日で迎えることになります。選手たちのメンタル、フィジカル、コンディションを見ながら臨んでいくことになります。いつも言っていますが、出る選手が躍動感を持って臨めるように。ホームでやらせてもらいますし、ファイティングポーズを取れるような、そういう準備をしてピッチに立たせてあげたいと思います」
リーグ戦の第9節は10月3日(土)17時、同じくミクスタで高知ユナイテッドSC戦です。
火曜日は、お祭りだと思って楽しみたい。
この日の記録
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会 | 2026/27 明治安田J3リーグ 第8節 |
| 日時 | 2026年9月26日(土)17:00 キックオフ |
| 会場 | ミクニワールドスタジアム北九州 |
| スコア | ギラヴァンツ北九州 1-1 鹿児島ユナイテッドFC(前半0-0/後半1-1) |
| 得点(北) | 63分 安光将作 |
| 得点(鹿) | 87分 フアンマ デルガド |
| 北九州の交代 | 54分 吉長真優→原康介/76分 高昇辰→西村真祈、吉田晃盛→永井龍/90+2分 福森健太→平原隆暉、坂下湧太郎→井澤春輝 |
| 入場者数 | 5,433人 |
| 天候 | 雨/20.5℃/湿度90% |
| 主審 | 宗像瞭 |
| 警告 | 31分 村松航太(鹿) 北九州は警告0・退場なし |
※得点シーンの記述、スタッツ、交代、審判、入場者数はJ.League公式の試合ページ(テキスト速報・スタッツ・メンバー)を参照しています。スタッツは2026年9月26日23時時点のものです(試合終了後に更新される場合があります)。
※田中遼太郎監督、安光将作選手のコメントはギラヴァンツ北九州公式サイトの試合レビューから、村主博正監督のコメントは鹿児島ユナイテッドFC公式サイトの監督・選手コメントページから引用しています。

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